X線(エックスせん)撮影とは?About X-ray

 X線撮影とは、人体に放射線をあてる(照射する)ことで、その吸収差により画 像(写真)を作る技術です。多くの皆さんが「レントゲン写真をとる」とか、「レントゲン検査をした」と言っているほとんどが「X線撮影」のことです。胸の X線写真や、胃バリウム検査のX線写真などは、よく見ることがあると思います。
当院でも、骨や関節のX線撮影を行っています。骨や関節は、体の表面から見ることができませんので、X線により骨や関節の写真を撮り、診断に利用するのです。
例えば、「腰の痛い患者さん」には、腰の骨のX線撮影を行います。それにより、「腰の骨が曲がっていないか」「腰の骨に骨折はないか?」「椎間(骨と骨の間)に狭いところはないか?」などを診断します。
また、骨折した時にもX線撮影を行いますが、「骨のどの部分が折れているのか?」「どのように骨折しているのか?」などにより、治療が違ってきます。そのためにも、きちんとしたX線写真が必要なのです。
私たち“診療放射線技師”は、患者の皆さんに適切な治療をおこなっていただくために、診断に有用なX線撮影を行っています。

CR(シーアル)とは?About CR

 CR(computed radiography)とは、従来のX線フィルムを使わず、特別な板(「イメージング・プレート」と言います)にX線を照射することにより画像となるも のです。その画像は、デジタル信号で取り込まれているので、いろいろな加工(処理)をすることができます(デジカメで撮った写真と同じことです)。
当院のCR画像も、撮影した骨や関節の画像に処理をおこないます。特に、画像を拡大したり、濃淡を変えることが簡単にできるので、とてもみやすくなりました。
また、CR画像はフィルムの現像がなく、診察室のモニターで画像を見ることができますので、撮影を終えてからの患者さんの待ち時間も少なくなりました。その上、フィルム代金がないので、患者さんの負担も軽減することができました。

従来のX線写真と比べて・・・Compared to conventional radiographs

 従来のX線フィルムでは現像した後で、濃淡を変えることができませんでした。しかし、CR画像では、撮影の後に処理をおこなうことができますので、診断しやすい画像となります。
下の画像は膝のX線写真ですが、左のフィルム法で骨はよく見えますが、右のCR画像だと骨の他に、軟部組織(骨の周り)まで見ることできるようになりました。

従来のX線フィルム

CR画像

また、CR画像は白黒反転したり、拡大表示をすることができます。下の図は、足首の横向き(足関節側面)CR画像です。左の画像から、いろいろな処理をすることができます。

通常のCR画像

白黒反転画像

拡大画像

下は指の画像です。小さな骨折だと診断しづらいのですが、拡大することで骨折がはっきりしてきます。これも、CR画像なら簡単にできます。

○の中に骨片(骨のかけら)があり、大きくすることでわかりやすくなります

 骨や関節のX線撮影は、いろいろな方向から撮影します。そのため、一つの部位を何度も撮影することになります。
なぜ、いろいろな方向から撮影するのでしょうか?それは、正面だけでは分からないことが、横向き(側面)にしたり、斜め(斜位)にしたりすることで、はっ きりと分かりやすくなるからです。例えば、人の顔を正面から見て「目が大きい」などと判断はできますが、横からも見ることで「鼻も高い」「耳が小さい」な ど、顔全体を明確に知ることができます。これと同じ事がX線撮影でも言えます。

頸椎正面画像

頸椎側面画像

 上の画像は、当院で撮影した首(頸椎)の X線画像です。左が前(正面)から、右が横(側面)から撮影した画像です。首の骨の形が、正面からみたのと、横から見たのとでは全く違うということが分か ると思います。その上、正面像から見えないところも、側面像では写し出されてきます。

膝関節正面画像

膝関節側面画像

 また、関節のX線撮影も同じことで、正面と側面などいろいろな方向から撮影した画像を見ることで、関節全体を診断できるのです。

ご協力のお願いRequest for cooperation

 当院では、私たち“診療放射線技師”が、患者さんの撮影を行っています。患 者さんが痛くてつらいときに、何度も撮影するのは、私たちも心苦しいのです。しかし、患者の皆さんにきちんとした診断をしていただき、それを治療していた だくため、私たちが必要なX線撮影を行っているのです。
また、X線撮影をするにあたり、患者の皆さんには、服を脱いでいただいたり、撮影する部位を触ったりしますが、それらの行為も、表面から見ることのできない骨や関節をきちんと撮影するためなのです。
患者の皆さんのご理解とご協力をお願いいたします。